今日は、行政書士試験の記述式予想問題の第3問です。
今回は、非常に重要な問題です。
基礎的な理解がしっかりとできているかが問われる問題です。
こういう基礎的な問題を間違えているようでは、合格するのが難しいので、もし間違えた場合には、猛反省して復習して下さいね。
[No.3]
第三者Cの詐欺により、Aは自己所有の甲土地をBに売却した。BはCの詐欺の事実を知っていた。その後、Aが詐欺を理由に契約を取り消す前に、Bは甲土地をDに売却した。AがDに対して甲土地の返還を請求できるか否かについて、D側の要件を含めて40字程度で記述しなさい。

(解答)
Dが善意無過失であれば、Aは詐欺による取消しを対抗できず、甲土地の返還を請求できない。(43文字)
(必須キーワード)
Dが善意無過失
取消しを対抗(主張)できず
返還請求できない
(解説)
本問は、第三者による詐欺(民法96条2項)と、詐欺による取消し前の第三者(96条3項)に関する理解を問う問題である。
・第三者Cによる詐欺(96条2項)
相手方以外の第三者(C)が詐欺を行った場合、相手方(B)がその事実を知っていた(悪意)か知ることができた(有過失)ときに限り、表意者(A)は売買契約を取り消すことができる(96条2項)。
本問では、相手方BはCの詐欺の事実を知っていた(悪意)ため、AはAB間の売買契約を取り消すことができる。
・取消し前の第三者(D)との関係(96条3項)
詐欺による意思表示の取消しは、「善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」(96条3項)。
本問のDは、Aが取り消す前にBから甲土地を買い受けた「第三者」にあたるため、Dが「善意かつ無過失」である場合、AはDに対して詐欺による取消しを対抗することができなくなる。
・【発展補足】取消し後の第三者との関係(判例の立場)
仮に、Aが詐欺を理由に契約を取り消した「後」に、Bが甲土地をDに売却した場合は結論および保護要件が異なる。
対抗関係(二重譲渡)の構成:
判例(最判昭33.7.1)によると、取消しによって不動産の所有権は「BからAに復帰」する(復帰的物権変動)。したがって、Bを中心として「Aへの所有権復帰」と「Dへの譲渡」がなされたことになり、AとDは対抗関係(二重譲渡類似の関係)に立つ。
決着基準:
対抗関係となるため、民法177条が適用され、「登記を先に備えた者が優先する」(善意・悪意や無過失は関係なく、登記の有無で決する)。
まとめの比較:
取消し前の第三者:民法96条3項により、第三者が「善意無過失」であれば保護される(登記は不要)。
取消し後の第三者:民法177条(対抗関係)により、「先に登記を備えた者」が勝つ。
・結論
したがって、本問(取消し前)においては、Dが善意無過失であれば、Aは詐欺による取消しを対抗できず、Dに対して甲土地の返還を請求することはできない。
ポイント
取消し「前」と「後」の比較は記述式・択一式を問わず行政書士試験の超頻出論点です。判例の考え方を100%完全に理解しておきましょう。